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日銀総裁はどうやって決まる?-任期・役割・決め方をわかりやすく解説-

雑学

日本銀行のトップである日銀総裁を定期的にテレビやニュースで見かけますが、どのように決まってどんな役割があるのか知っていますか?

今回は、日銀総裁の任期・決まり方・役割をわかりやすく説明します。

日銀総裁が交代する時期はもちろんのこと、その発言は日々のニュースで大きく取り上げられていますよね。

日銀総裁の役割を理解できると、

  • 毎日見ているニュースから新しい発見がある
  • 交代や発言のニュースが大きく報道される理由

が分かります。

日銀総裁とは

日本銀行の総裁とは、日本銀行の代表者です。

日本銀行の目的・役割・人事に関することは、すべて日本銀行法に規定されています。したがって、日銀総裁の人事や役割に関することも日本銀行法に基づいて決まっています。

それでは、日本銀行法を参照しながら説明していきたいと思います。

日銀総裁の任期

日銀総裁の任期は5年です。
再任することも可能です。

また、一度任命されると任期途中には原則として政府や国会の都合では解任できません

現総裁の任期

現在の植田総裁の任期は2023年4月9日から2028年4月8日(5年間)

(役員の任期)
第二十四条 総裁、副総裁及び審議委員の任期は五年、…(略)…。
 総裁、副総裁、審議委員、監事、理事及び参与は、再任されることができる

(参照)日本銀行法(平成9年法律第89号)
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日銀総裁の決め方

日銀総裁は、衆議院と参議院のそれぞれの過半数の承認を経て内閣が任命します。

これを国会同意人事といい、内閣が一定の中立性や独立性が求められる機関の人事を任命する際に、両議院の承認を得る必要があるものをいいます。

法律や予算などの採決で採用されている「衆議院の優越」が適用されないので、衆議院と参議院の両方の承認が必要なため手続きが厳しいのが特徴です。

(役員の任命)
第二十三条 総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。

(参照)日本銀行法(平成9年法律第89号)

日銀総裁の人事はなぜ厳しくなっているのでしょうか。日銀総裁が担う役割の大きさに注目して考えてみてみましょう。

日銀総裁の役割

日銀総裁の役割は、日本銀行の業務を総理することです。

日銀総裁の役割

日本銀行の業務のすべてを統括し、管理し、取りまとめること

日本銀行の業務は次の2つの目的を達成するために行われています。

2つの目的
  • 物価の安定
  • 金融システムの安定

日本銀行の最も重要な目的は物価の安定です。
したがって、日銀総裁の最大の役割は、物価の安定を通じた国民経済の健全な発展に貢献することだと言えます。

日銀総裁の交代のニュースがこれだけ大きくなるのも、日銀総裁の役割が物価の安定を目指すものであり、それは我々国民経済に直結するものであるからだと言えます。

(役員の職務及び権限)
第二十二条 総裁は、日本銀行を代表し、委員会の定めるところに従い、日本銀行の業務を総理する

(参照)日本銀行法(平成9年法律第89号)

日本銀行の業務について詳しく知りたい方は、参考記事日本銀行の目的と役割についての記事を参照してください。

日銀総裁の主な3つの業務内容

日銀総裁が物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に貢献するため、主に3つの業務を行っています。

3つの業務
  • 金融政策決定会合の議長
  • 市場関係者との対話
  • 国際会議への出席

それぞれの業務について詳しく説明します。

金融政策決定会合の議長

1つ目に、日銀総裁は金融政策決定会合の議長という業務を担っています。

日本銀行には、最高意思決定機関として政策委員会という組織が置かれています。この政策委員会では、日本銀行の重要な意思決定が議論・決定されます

そして、政策委員会の議長は日銀総裁が努めます。

政策委員会で行われる会合のうち、最も重要なものが金融政策決定会合です。

金融政策決定会合
  • 金融政策に関する重要事項を決定する会合
  • 主に物価の安定に向けた各種施策が決定される

金融政策決定会合では、物価の安定に向けた様々な施策が決定され、その施策は私たちの生活や金融市場に大きな影響を与えるものなので注目されています。

政策委員会の会合における議論は多数決で決定されますが、議長の裁量や判断が大きいことは言うまでもありません。

金融政策決定会合の議長である日銀総裁は、金融政策に関するかじ取りという業務を担っていると言えます。

(設置)
第十四条 日本銀行に、政策委員会(以下この章及び次章において「委員会」という。)を置く。

(権限)
第十五条 次に掲げる通貨及び金融の調節に関する事項は、委員会の議決による。
二~四 (略)
 その他の通貨及び金融の調節に関する方針の決定又は変更
 前各号に掲げる事項の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解その他通貨及び金融の調節に関する日本銀行としての見解の決定又は変更

(参照)日本銀行法(平成9年法律第89号)

市場関係者との対話

2つ目に、市場関係者と対話をするという業務です。

日本銀行が決定した金融政策は、株式市場などの金融市場・マーケットや私たちの暮らしに大きな影響を及ぼします。

したがって、市場の無用な混乱を防ぐために、日銀の金融政策の内容やその意図について正しく適切に発信することが大切です。

市場との対話の方法として、次のような事項が法律で定められています。

法律に基づく対話
  • 金融政策決定会合の議事要旨等の公開
  • 国会への金融政策に関する報告書の提出
  • 要請に応じた国会への出席
  • 業務概況書の作成

特に、金融政策のかじ取り役である日銀総裁の発言には大きな注目が集まっています

日銀総裁の一言によって、マーケットが混乱したり、金融市場が大きく動いて多大な損失を被る市場関係者が生じたりすることも十分に考えられます。

金融市場では不透明性が最大のリスクと言われています。予測困難なサプライズ的な金融政策は望ましくないというのが通説です。

もし市場関係者が変更を予測できれば、その対応を準備して金融市場における損失を軽減できるからです。

そのため、日銀総裁は、金融市場が混乱しないよう、適切に情報発信をするなどして透明性を確保し、丁寧に市場と対話することも大切な業務と言えます。

(議事録等の公表)
第二十条 (略)
 議長は、委員会の定めるところにより、金融調節事項を議事とする会議の議事録を作成し、委員会が適当と認めて定める相当期間経過後に、これを公表しなければならない。

(国会への報告及び出席)
第五十四条 日本銀行は、おおむね六月に一回、…(略)…日本銀行が行った業務の状況を記載した報告書を作成し、財務大臣を経由して国会に提出しなければならない。
 日本銀行は、前項の報告書について、国会に対し説明をするよう努めなければならない。
 日本銀行の総裁…(略)…は、日本銀行の業務及び財産の状況について各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席しなければならない。

(業務概況書の公表)
第五十五条 日本銀行は、…(略)…業務概況書を作成し、これを当該財務諸表及び当該事業年度の決算報告書とともに公表しなければならない

(参照)日本銀行法(平成9年法律第89号)

国際会議への出席

3つ目に、国際会議への出席という業務です。

金融市場は国内にとどまらないので、日本の経済・物価安定は世界の金融情勢の影響を受けます。

日銀総裁には、各国の政府や中央銀行、国際機関、民間金融機関などと情報交換・議論等をすることで、各国の金融関係者とともに国際金融危機の発生や拡大の防止を図るという役割があります。

また、海外の市場関係者も日本の金融市場の参加者であり、日本の金融政策に関心を寄せているため、国際会議などの場で日本の金融政策を正しく発信することも重要な業務と言えます。

戦後の日銀総裁の一覧

最後に歴代の日銀総裁をまとめておきます。

就任日氏名出身
17昭和20年10月9日新木榮吉日本銀行
18昭和21年6月1日一萬田尚登日本銀行
19昭和29年12月11日新木榮吉日本銀行
20昭和31年11月30日山際正道旧大蔵省
21昭和39年12月17日宇佐美洵旧三菱銀行
22昭和44年12月17日佐々木直日本銀行
23昭和49年12月17日森永貞一郎旧大蔵省
24昭和54年12月17日前川春雄日本銀行
25昭和59年12月17日澄田智旧大蔵省
26平成元年12月17日三重野康日本銀行
27平成6年12月17日松下康雄旧大蔵省
28平成10年3月20日速水優日本銀行
29平成15年3月20日福井俊彦日本銀行
30平成20年4月9日白川方明日本銀行
31平成25年3月20日黒田東彦財務省

日銀総裁の出身者は、日本銀行に限らないことがわかりますね。
日銀総裁は内閣が任命するため日本銀行の出身者以外が就任できます。

【まとめ】日銀総裁の役割は大きい

日銀総裁が任期途中で政府などの意向で解任されなかったり、人事の決め方が厳しい手続きに則っているのは、それだけ役割が大きく、私たちの生活に大きく影響するものであるからだと言えると思います。

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