適応障害と診断されて休職したいと考えている人にとっては、
- 職場の上司に休職したいと言いだせない
- どうやって伝えればいいのかわからない
ということが、最も多い悩みの1つだと思います。
適応障害は、ほとんどの場合が職場環境のストレスが原因なので、職場の上司に適応障害であることを伝えるのはなかなかハードルが高いですよね。
私も適応障害で休職する際に、上司にどう切り出して言いのか、どうやって伝えればいいのかがわからず悶々と日々を過ごしていたのを覚えています。
今回は、適応障害で休職したい人向けに、上司への伝え方やおすすめの連絡手段など、自分の体験談をもとに紹介したいと思います。
休職の意志を誰に伝えるか
医師から適応障害の診断を受け、療養が必要だと言われたら、会社に休職したいことを伝えます。
ちなみに、まだ医師の診断を受けていない方や、診断書をもらっていない人は、心療内科のかもみーるなら、オンラインで受診して診断書を発行してもらえます。すぐに家から受診したい人は、かもみーるの心療内科を受診してみてください。
まずは、休職を誰に伝えるかということですが、自分の部署の直属の上司・人事担当部署・産業医の3つの方法があります。
自分の部署の上司に伝える
1つ目は、自分の部署の上司に伝えることです。
自分の部署の上司に伝えるのは、最も一般的な方法です。
自分の上司に伝えるメリット・デメリットは次のとおりです。
- 自分の職場環境や自分のことを最も分かっているので理解されやすい
- 今後の引継ぎ事項などの細かなやり取りも確認できる
- 自分の職場環境や上司が原因の場合には伝えにくい・本心を言いにくい
- 休職しないよう引き止められる可能性がある
自分の上司に伝える最大のメリットは、適応障害になったことを伝えたときに、日頃から最も近くで一緒に働いているので、自身の性格や働き方・職場環境を理解しているため、病気に罹患してしまった原因をわかってもらいやすい点です。
罹患してしまった原因を理解・共感してもらいやすいので、休職手続きもスムーズにいく可能性が高いです。
しかし、同時に、適応障害の原因が職場環境や人間関係である場合には、同じ部署の人間には言いにくいということもありますよね。特に上司との人間関係が原因の場合は、なおさら言いにくいのが正直なところです。
また、部署としては、職員に休職されて業務がストップするには痛手なので、「●●を改善するからもう少し頑張ってみないか。」などと、休職を考え直すように引き止められてしまう場合もあります。
私は職場の上司に休職の意志を伝えましたが、直属の上司ではなく、もう一つ階級が上の上司に言いました。
直属の上司は、チームリーダー的な存在で、その上司との仕事のやりとりや人間関係が原因で適応障害を発症したので、直属の上司にはとても言い出せるような雰囲気ではなかったです。そこで、その上司を管理する立場である所属長に、休職の意志を伝えました。
同じ部署内で階級が上の方の上司がいる場合には、
- 自分のこともある程度把握している
- 職場環境や雰囲気もわかっている
- 人事管理が仕事なので無理に病人を引き止められない
ので、スムーズに手続きが進むことが多いので、ぜひそのような職員に切り出してみましょう。
人事担当部署に伝える
2つ目は、人事担当部署に伝えることです。
自分の部署の上司や職員に伝えにくい場合には、人事担当部署に伝えるのも方法の1つです。
人事担当部署に伝えるメリット・デメリットは次のとおりです。
- 適応障害の原因(人間関係や環境など)を正直に伝えやすい
- 復帰時の配属の希望なども伝えられる
- 自分の部署の人間ではないので事情が伝わりにくい
- 日頃から顔見知りや話しやすい職員でないと言いにくい
人事部署は、休職制度を扱う部署なので、所属先の上司よりも話しやすかったり、自分の状況を客観的に正直に伝えやすいのがメリットです。
また、復帰時にどういった配属先がいいか、他に利用できる制度がないかなど、人事面の相談も合わせてしやすいです。
しかし、所属部署の事情をすべて把握できているわけではないので、適応障害に至った事情をきちんと理解するには限界もあります。また、人事部に休職を申し出る窓口があれば利用しやすいですが、相談できる人事部の職員などがいない場合には、言い出すのがなかなか難しいかもしれません。
産業医に伝える
3つ目は、産業医に伝えることです。
どうしても職場の人間に伝えたくない場合には、産業医に相談してみましょう。
適応障害で休職する場合には、「労働環境が悪かった・特定の職員が原因である」というように、職場環境が悪いことを伝えるようなものなので、人事部署や自分の部署などの職場の人間に言えないという人もいると思います。
あるいは、職場にストレスを感じている人は、職場と関わることすらストレスで辛くなって症状が出てしまうという方もいるでしょう。
そのような方は、産業医に適応障害の症状について相談して、休職したいという意志を伝えてみましょう。場合によっては、産業医が人事部に休職の意志を代わりに伝えて取り持ってくれることもあります。
産業医に相談するメリット・デメリットは、次のとおりです。
- 自分の気持ちや体調を正直に伝えられる
- 休職しないよう引き止められることはない
- 企業側(人事)に休職の意志を伝えてくれる確証はない
産業医に相談する最大のメリットは、何はともあれ、職場の人間ではないので、自分の辛い気持ちや症状を気兼ねなく伝えやすいことです。
また、医師であるので、病気や患者に対する理解が深いので、無理に労働を続けさせることはなく、休職しないよう引き止められる心配もありません。
ただし、企業側(人事)に休職の意志を代わりに伝えてくれるか・間を取り持ってくれるかは産業医によるので、結果的に自分で企業側に言わないといけなくなるかもしれません。
休職の意志の伝え方
次に、休職を伝える手段・方法についてです。
具体的には、出社して直接会う・電話・メールのいずれかの方法で伝えることになります。
直接会って伝える
1つ目は、直接会って伝える方法です。
私は、出社した日に、所属長に面談の予約を取り、診断書を見せて伝えました。
直接会って伝えるメリットデメリットは、次のとおりです。
- 自分の意志を伝えやすい
- 今後の連絡手段や引継ぎ事項などの細かな調整がしやすい
- 職場環境によっては直接伝えるのは気まずい場合がある
私は、所属長に伝えましたが、所属長は、自分のチームと直接深く関わっているわけではなく、あくまでマネジメントの立場だったので、特段直接会って話すのは気まずくなかったため、直接会って話しました。
直接会って話すと、やり残した仕事や、今後はどうやって連絡を取っていけばいいのかなどの細かな事務事項を調整できたので、結果的に安心して休職期間に入れたのがよかったです。
特に、休職は申請したら終わりではなく、休職期間中も適宜職場と連絡を取る必要があるので、その連絡窓口などを決められたのは安心感がありました。
ただし、人によっては、職場の人と顔を会わせるのも嫌だと感じる方もいると思うので、そのような人は、電話やメールといった方法で伝えるといいでしょう。
電話で伝える
2つ目は、電話で伝える方法です。
電話で伝える際のメリット・デメリットは次のとおりです。
- 出社しなくていい(職場の人に会わなくていい)
- 相手の表情を見なくていい
- 職場から引き止められる可能性がある
- 相手と話す必要があるのが気まずい場合がある
電話で話す最大のメリットは、出社の必要がないので、実際に会って話す必要がなく、その外尾の同僚などの職場の人に会う心配もないことです。
同僚や上司と顔を合わせたくない人は、電話で伝えるのがいいと思います。
ただし、電話だと、表情が見えないので、自分がどれだけ苦しいのかが伝わらず、休職を思いとどまように引き止められる可能性があります。また、そもそも上司の声を聞いたり話すことすらストレスに感じる方は、電話で伝えるのは厳しいですね。
メールで伝える
3つ目は、メールで伝える方法です。
メールで伝える際のメリット・デメリットは次のとおりです。
- 直接話したり会わずに済む
- 休職の意志を文章で残せる
- 自分の休職に至った経緯が伝わりにくい
- メールを打つ必要がある
メールで伝える最大のメリットは、直接会ったり話したりすることなく休職手続きができることです。
そもそも職場と一切の関わりを持ちたくない、直接話したりするのが嫌な人はメールで済ませるのがおすすめです。
また、休職の意志をメールで残せるので、休職したいと言った・言わないというトラブルを会社側と避けることができます。
ただし、メールだと、なぜ自分が適応障害になったのか・職場の何が原因なのかを上手く伝えるのが難しいです。実際に話せば、ニュアンスや細かな具体例などを伝えられるかもしれませんが、メールとなると、細かく文章で伝えるのはなかなか厳しいと思います。
復職まで考えている人は、復職時に自分に合った配属先にしてもらうためにも、直接会ったり電話で話すなどして伝えるのがおすすめです。
職場と直接関わらずに休職したい人は、職場自体にストレスを感じていて、職場から一刻も離れたいという気持ちが強いので、また同じ職場に戻ることが難しいかもしれません。
そのような場合には、自分を守るためにも、退職代行サービスなどを利用して、職場と一切やり取りをせずに、職場と関係を断ち、退職するのも1つの方法です。
適応障害で休職する際に伝えるべきこと
適応障害で休職を申請する際には、どのような方法で伝える場合でも、次の点を伝達・確認するようにします。
- 診断書が発行されたこと
- 休職の意志
- 休職期間(いつからいつまで)
- 診断書の送付先
- 今後の手続きについて
- 休職期間中の連絡手段
- 有給休暇の消化について
- 傷病手当金のの手続きについて
- 引継ぎ事項など
診断書が発行されたことを伝える
まず最重要なのは、医師から適応障害の加療のために休職を要するという診断が出た、ということを伝えることです。
休職制度は、病気の加療のために利用できますが、あくまで、医師から「病気のために働けない」と診断されたときに限ります。
したがって、まずは、医師から「適応障害の加療のために仕事を休む必要がある」という診断書が出ました、と伝えるのが最重要です。
職場は、基本的に、病気で仕事を休む必要があるという診断書が出たら、安全維持の観点から無理に働かせることはできません。
まだ診断書をもらっていない人は、心療内科のかもみーるなら、オンラインで受診して診断書を発行してもらえます。すぐに家から受診したい人は、かもみーるの心療内科を受診してみてください。
休職の意志を伝える
次に、休職の意志を伝えます。
職場に、医師から適応障害のため仕事を休んで療養するよう診断されたため、休職したいと申し出ましょう。
診断書を受けて、自分も休職制度を利用したいという意志を明確に示すことが大切です。
休職期間を伝える
最後に、休職期間を伝えます。
診断書に、「〇〇ヶ月の加療を要する」などと、休職すべき期間が記載されていると思いますので、いつからいつまで(何か月間)休職するのかを伝えましょう。
病状によって、休職期間を延長することができますが、まずは手元にある診断書通りに休職期間を申請します。
休職期間を延長する場合には、別途診断書が必要になります。
次に、休職を申請する際に確認すべきことを挙げておきます。
診断書の送付先を確認
1つ目は、診断書の送付先です。
直接会って休職を申し出る際には、その場で診断書を提出しますが、電話やメールで伝える場合には、必ず診断書の送付先を確認しましょう。
基本的には、所属先の人事を担当する所属長宛てになるかと思いますが、人事部門に直接送付するよう指示される場合もあるので、必ず送付先を確認しましょう。
診断書がないと職場は休職手続を行えないので、きちんと送付する必要があります。
今後の休職の手続きを確認
2つ目は、今後の休職の手続きを確認することです。
職場に休職の意志を伝えるだけで休職ができるわけではありません。
職場の就労規則に則って、休職届などの書類を提出して受理されて初めて、正式に休職ができます。
今後の手続きについてきちんと確認しましょう。
休職期間中の連絡手段を確認
3 つ目は、休職期間中の連絡手段を確認します。
休職期間中は、
- 傷病手当金申請書の提出
- 休職期間の延長の有無
- 復職する場合の調整
など、折に触れて職場と連絡を取る必要があります。
また、自分自身も何か不明点があれば、職場に連絡する必要が生じます。
休職期間中は、職場から長期間外れることになり、その間に人事異動なども生じる可能性もあるので、誰(どの部門)が職場の窓口となるのかをしっかりと確認しましょう。
有給休暇の消化の有無を確認
4つ目は、有給休暇を消化するかを確認します。
有給休暇が残っている人は、休職に入る前に有給休暇を消化できるかについて確認しましょう。
休職期間中は、基本的に給与が発生しないので、まずは有給休暇を取得してから休職するのが理想的です。
自分の有給休暇の残日数を確認して、すべて使えるかどうかを聞きます。有給休暇を使用できる場合には、有給休暇の消化後から休職期間がスタートします。
前述した休職期間と合わせて、いつからいつまでが休職期間なのかについて、職場ときちんと共有しておくのが大切です。
傷病手当金の手続きについて
5つ目は、傷病手当金の手続きを確認します。
休職期間中は、給与が支給されない代わりに、健康保険組合から傷病手当金を受給できます。
傷病手当金の申請手続きは、人事の福利厚生などの部門が扱うことが一般的ですが、どの部門とやり取りをすればいいのか確認しましょう。
傷病手当金については、こちらの記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
引継ぎ事項などを伝える
最後に、引継ぎ事項についてです。
休職期間中は、職場の誰かが自分の仕事を代わりに行ってくれます。
療養のために休職することは仕方のないことですが、立つ鳥跡を濁さずというように、喫緊に対処すべきことややり残した仕事などについては、最低限共有しておくようにしましょう。
休職を伝えるのは怖くない
休職したいけど、職場に言いにくくて躊躇している人は多いと思います。
特に、適応障害の発症は、職場に原因があることが多いので、その職場に休職の意志を伝えるのはなかなか難しいですよね。
しかし、休職を伝えるのは怖いことではありません。私が職場に休職を伝えて、次のように感じたので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
休職は権利である
休職することは権利です。
私も休職するときに、
- 適応障害で休職するのは恥ずかしいな
- 職場の人になんて思われるのかが怖い
- 上司に言うのが怖いな
というように、適応障害で休職することに後ろめたさを感じていました。
しかし、いざ休職してみると、適応障害で心身ともにボロボロで仕事を続けることは困難でしたし、そのまま続けていたら、さらに症状が悪化して元の自分に戻れなかったのではないかと思うので、本当に休職してよかったと思いました。
また、休職制度というのは、労使関係の上に成り立つ、立派な労働契約上の労働者の権利ですので、病気で仕事ができない場合には利用して問題ありません。
特に、適応障害は心の病なので、なかなか外的に現れるものではないため、周囲に理解されにくいですが、医師が加療を要すると診断したということは、ドクターストップがかかったということです。
決して無理せずに、きちんと自分を守ることが大切だと思いました。
休職前からサインを出しておく
私がすんなりと休職できた理由の1つが、休職前から仕事が苦しいというサインを職場で出していたからだと思います。
職場で上司と定期的に面談があると思いますが、面談の機会を利用して、
- 自分に相当な仕事量の負荷がかかっている
- 直属の上司が仕事を丸投げしてくる
- 残業時間が過度に続いている
などを相談し、所属長に「そろそろ限界です」というサインを送って状況を改善するように要求していました。
結果的に状況は改善されませんでしたが、私が診断書を出して休職を願い出たときにも、とうとう最悪の事態になってしまったか…という印象で、「ゆっくり休んでください」と言われ、特に引き止められることもなく、気まずい雰囲気にもならずに済みました。
いきなり休職を言い出すのが気が引ける…と感じる前に、しっかりと事前に部署内で自分のSOSを発信することも大切かもしれません。
休職を伝えるのに悩むくらいなら退職する
私は、休職をして結果的にそのまま退職をしましたが、今思えば、休職を伝えるのに躊躇して悩んで症状が悪化するくらいなら、いっそのこと退職した方がいいと感じます。
適応障害は、発症した原因がはっきりとしている病気です。
職場の人間関係・労働環境などが原因で、職場に休職を申し出るなどの関わりを持つことすらストレスになるということは、休職して復職しても、また同じ環境に身を置けば再発する可能性が高いです。
そうであれば、退職をして新たな環境に身を置く方が、心身ともに健康でいられると思います。
休職を伝えるのがどうしてもいやな場合には、退職代行サービスなどに依頼して代わりに退職の意志を伝えてもらい、一切職場と関わりを断つという道もあることは忘れないでください。
休職の手続きはあくまで通過点
ここまで、休職をするためにどのように職場に伝えるのかについて紹介をしましたが、休職の手続きはあくまで自分の人生の通過点です。
重要なのは、休職をして心身を回復し、次のステップに進んで自分らしく人生を歩むために準備をすることです。
休職期間の過ごし方によって、どのくらい心身を回復できるか・次のステップにむけて準備できるかが大きく変わるので、休職に入ったらどのように過ごすのかについて考えることが大切です。
休職期間中のおすすめの過ごし方については、こちらの記事で紹介しているので是非参考にしてください。